焼 山
2,400m


   登頂日 08年7月27日 天気 晴
     登頂者 土橋 私等夫婦

    この日のコースタイム
    登 り(3時間46分)

      登山口発4:25-展望台4:39-5:28大曲5:30-大谷5:58-地獄谷6:16-富士見分岐7:05
      泊岩7:10-展望がきく急登手前7:24-岩稜の稜線7:55-岩稜を上る8:02-焼山頂上8:11
     下 り(2時間38分)
      焼山頂上発9:25-富士見分岐10:05-大谷10:52-大曲11:15-
登山口着12:03


 

  平成18年12月4日に新潟県内の山で唯一の活火山、焼山登山が解禁になった。
  その焼山登山を08年7月27日、ようやく実現する事が出来た。

  私の拙い情報と検討から、現在一番安全で時間を掛けずに焼山に登るに、糸魚川の笹倉温泉
  から入るのが一番ベターと考え、このコースから入る事にした。

  糸魚川、8号線沿い早川の河口に笹倉温泉へという大きな看板があるのでそこから早川を遡り
  笹倉温泉を過ぎると、砂防ダムがある。その砂防ダムを目指しダム下の橋を渡り右側の林道を
  しばらく登るとゲートがある。

  笹倉温泉から左に若干行くが、そのまま行くと林道が続くが方向に行かないように注意である。
  焼山への林道は、笹倉温泉道路ほぼ正面方向である。ダムへは左に行ってすぐ右折です。

  このコースはゲートから登山口まで約6.5km歩かなければならないのが難点である。

  焼山単独を目指すのであれば、日帰りも可能と思われるが、初めての山でもあり、登山道が
  未整備ということもあり、それなりの時間を見ておいた方が無難と登山口で前泊とした。

  林道歩きは登りであるので2時間見るのが無難である。
  ゲート前には2〜3台駐車出来るが、現在砂防ダムと林道工事をしているので、特に平日は、
  待避所として利用される事も考えれば、その事を充分配慮し、駐車が必要である。

  きつい山は、今まで土橋さんと一緒に歩いたので、彼に声をかけたらOkの返事で3人で出かけた。
  登山口にテントを張り夕食とした。
  見上げると満天の星空で明日の天気は良さそうである。

  土橋さんは、一杯やりながら「久し振りにワクワクするなぁー」と言われた。それは、未知の焼山に
  対する楽しみと、若干の不安が交差した気持ちのようであった。

  私は、「道が分からんという事はないと思うので、そう心配は要らないと思うよ」と話し満天の星空
  の下での夕食の会話が楽しく進む。朝4時頃出発を予定し、早めにテントに入って休んだ。

  朝起きると、昨日期待したほどの天気ではないが、周辺の山は暗闇でも見えるのでそう心配は
  いらない。4時はまだ暗い、陽のあがる時間が遅くなったし、暮れも早くなった。

  4時25分出発する。登山口は、コンクリートで箱型シェルターの先に登山口の標識のある
  所から登る。
道はしばらくしっかりしている。


シェルターの左端が登山口 シェルター左の登山道入り口



 歩き始めると最近草刈をした跡がある。先月登山道整備の途中熱中症で亡くなった人が居ると
 聞かされ、その人達のお蔭と心を痛めながら感謝の気持ちで歩いた。

 所々に赤テープが付けられ、また標識もぶら下げられていた。歩く事15分で展望台、凡そ
 1時間で大曲、その左に広場があり、焼山を仰ぎ見る事が出来る。

 ここで水飲み休憩をし、焼山を仰ぎ眺め、まだまだ先であることと、天気は悪くない事を確認して
 歩き始める。
この左に焼山の見えるところがある 夜明けの大曲左広場から焼山を仰ぐ


 この先、地獄谷、大谷となるが、想像するに石がゴロゴロ、広い石原の歩く道を確認をしながらと
 想像して足を進める。

 道は樹林帯の緩やかな登りが続く、思ったより勝手が違うぞと思いながら進む。
 5時40分小さな沢があり、その沢から水が流れていたので、その水を飲むと結構冷たく美味しい。
 水の補給はここでも可能だ

赤テープが所々に 冷たい沢の水だった


 5時44分、小さな谷になり谷には雪渓があった。
 雪渓は朝なので硬く滑らないように気をつけて登り、右前方の赤テープを目指して取り付く。



 5時58分大谷に差し掛かる。大谷の下りにロープが付けられていて、土ザレの坂を少し下る。
 大谷は雪渓でつまっていて、予想のイメージと随分違う。

 山勘があり足の速い土橋さんが先になり、今度は少し下り左上の赤テープを目指し、硬い雪渓を
 滑らないように下り、谷を上がる。

ロープの急坂を降りる 少し下って左上に


 ここにもロープが張られ、危険というほどではないが、トラバース気味にこの坂もわずか登ると、
 また緩やかな登山道となる。丁度6時である。順調なのかどうか道標の時間から少し早いが、
 判断がつかない。

 所々にキヌガサソウが可憐に咲き、10分ほど歩くと群生地で私等の気持ちを和ませてくれた。



 6時16分地獄谷に差し掛かる。石だらけの谷を予想してきたら、谷は大きいが雪渓で地獄谷の
 想像と随分違うと思いながら、雪渓の谷に降り、少し登って右前方の谷を登る。
 
最近付けられたこのような標識が随所に 冷静に赤いテープの目印を探そう


 地獄谷を越えて歩くと、サクラソウが群生していた。地獄谷は、石だらけの焼山を想像して来たので、
 花に迎えられ、少々戸惑いと安堵が交差しながら快適に歩く。



 地獄谷から25分程歩くと又雪渓の谷に出た。右上から水が流れていたので、ここでも水飲み
 休憩を取る。
 休憩を終え雪渓を登り、左に夏道に上がり、又雪渓に出ると、遥か左上に赤テープが見えた。

 7時5分、その赤テープの位置が富士見峠と焼山頂上への分岐であった。
 富士見峠へは、雪渓のしばらく上の方に赤いテープが見えたので峠への道しるべと思った。



 私等は雪渓から左の樹林帯に登る。後10分で泊岩と標されていたが、5分も掛からず泊岩に
 着いた。泊岩の標識の後が大きな岩でその岩の下が大分荒れていたが避難小屋であった。

富士見峠への分岐、焼山は左に 岩穴を利用した避難小屋


 その避難小屋をながめて、頂上に向かった。少し急の岩で沢状の所を越えると平らで雪が残って
 いたが、その所を少し歩くと、草が薮状の急な登山道になった。



 7時24分、ここを抜けると展望が開けいよいよ焼山の岩交じりの急登の始まりである。
 この急登は稜線に上がるまで30分掛る。見上げると荒々しい岩がいくつか見える。
 ようやく、描いていたイメージの焼山登りの開始だ!途中様々な高山植物が咲いていた。

ここから展望がきく、そして石とガレの急登が始まる 上を見るとようやく焼山らしさが


ツメクサ ママハハコがあちこちに沢山咲いていました


 7時55分稜線に辿り着いた。進む方向は何処だろうと眺めると、右方向の大きな岩の間に
 ロープが下がっているのが見えた。かなり急登だ。ガスっていたらこの方向を見定めるのは
 困難である。


 この間30分の岩原の登りもガスが掛かる,としっかり赤テープを確認しなければならない事、
 また、この岩を確認する事は難しい。よって岩稜を越える事も難しい。

 こんな時、私は無理をしないで頂上を断念をすることを勧める。特に焼山登頂は晴れに限る。
 焼山の頂上を極めたいと思うならば、焼山の頂上の素晴らしい山容が見える時が最高だ!。
 よって、重ねて晴れの日を選んでの登頂である。曇は登山・登頂断念を薦める。


ガスると方向が分かりにくい ここまで約30分の登りだった


 足の早い土橋さんは、頂上も確認できたのですでに大きな岩を越えて頂上近くの稜線を歩いて
 いる。私等夫婦は、急登の手前で一息入れてロープや鎖に掴まりながら登るが、帰りは相当
 気をつけながら降りなければと思いながら登る。この岩稜は、8分くらいで登り切った。

 残雪期は、この岩稜の急登は避けて、左下を巻いて頂上右の尾根に取り付くのだろうと思った。
 この岩稜をよじ登ると、左に少し巻いて頂上下の尾根に取り付く、焼山も目の前となり、迫力のある
 頂上の山容が現れた。

 少し、下り始めると、左にヨツバシオガマが群生していた。下っていよいよ最後の登りだ。
 下るといっても僅かな下りで、岩稜を登り切って山頂迄はおよそ10分である。


ヨツバシオガマが群生していた 大きな岩稜を越えて、右ピークが焼山


 8時11分、念願の焼山の頂上である。私らが頂上に着く前にガスが頂上に掛かる。
 頂上の様子も駄目か?まぁ頂上を踏むだけでもと思ったら、幸いガスも上がり頂上の素晴らしい
 山容をしっかり見ることが出来た。

焼山頂上の標識 頂上にて


 成る程、活火山の焼山であり、魅力的な山容である。土橋さんは、「焼岳より見応えがある」と
 言われ、成る程、槍・穂の素晴らしい山々と比較すると周辺の景色は譲るにしても、焼山の山容は
 焼岳には劣らないと私も思った。

頂上の稜線 標識の上が焼山の最高峰だ!


 その山容の魅力に引きつけられ頂上の稜線を散策する。火打山からの道は、これ又不明瞭で
 あるが、登りは稜線を目指すので大丈夫だが、下山する位置も登ると同時にしっかり確認して
 置いた方が良いだろう。

                          焼山頂上の稜線は結構長い


 しばらくすると火打山の方から男女5人のパーティーが登って来た。火打山から2時間50分で
 来たという。

 帰りの火打山の登りの方が大変なのでそのパーティーは、頂上で記念写真を撮り休憩するとすぐ
 下山した。

 すると男性二人が登って来た。その二人は2時間30分の所要時間で焼山に着いたという。
 いずれにしても火打山〜焼山迄の往復は、休憩を入れて6時間見るのが無難と思う。


目前の焼山を目指すパーティー 頂上について私らと寛ぐパーティー


 頂上で風景に魅入っていると私らが来た方から、一人の男性が登って来たので、登山口を聞い
 たら笹ヶ峰から5時間30分で登って来たという。道の様子を聞くと迷う心配はなかったというので

 私らが登った笹倉温泉側と同じく草も刈られテープも標されているのではと思ったが、実際は
 定かでない。

 私らが登った前日、笹ヶ峰から登った二人が帰らないという新聞の記事を家に帰って見た。
 翌日の新聞をよく見たら、その日の夜11時に麓に着いたとの記事で、間違いなく道に迷ったと
 思った。よく夜中に迷った道を戻ったものだと思ったが、無事で何よりであった。

 考えるに、テープの標しがあるといえども、登りの時に下山の事も考えて、要所要所わかりにくい
 ところはしっかり確認をしなければならない事は言うまでもない。

 9時25分離れがたい山頂を出発する。頂上に1時間10分も過ごした。それだけ見応えのある
 山頂であったということでもある。それも晴天に恵まれたお蔭である。

                         焼山頂上周辺の様子




 下山は、ひたすら下るのみ、水のあるところで水飲み休憩をし、順調に下山する。
 コンクリート箱型のシェルターのある登山口に12時3分に到着する。
 この日私等の登頂時間は、登りで3時間46分、下山で2時間38分の所用時間であった。

 ゲートまでは、下りだが疲労度も加え、1時間40分で着けるであろう。
 登山道は未整備と思って登ったが、幸い最近標識を下げ、登山道も道刈りがされ(一部草薮もあるが)
 私等は較的順調に進む事が出来た。

 しかし、前述の通り、岩が出てくる急登箇所からはガスのある時は、初めての人は勿論経験の少ない
 人は登頂を避けるべきであると考える。何回かこのルートを経験した人は、判断が出来ると思うが・・・

 焼山は、新潟県の山では他に類のない見応えのある山容であった。
 晴れた日にたっぷり時間を取り、山の経験者に同行して貰い、訪ねてみてもよい山と思った。

 9月12日に、笹ヶ峰ルートより登りました。笹ヶ峰ルートへアクセスします