1292.7m
’09年1月22日(木)曇 20日夜、長岡(旧与板町)の笠原さん(ハンドルネーム・obake隊長さん、以下Kさん)から電話があった。 明日粟ヶ岳に登ろうと思うがどうだろうかとのお誘いがあった。 特に予定は無かったので了解し、朝7時30分加茂・七谷第一水源地手前の除雪完了地点で待ち合わせた。 天気予報は、午前中からお昼過ぎまでは晴れ、朝は曇っていたが晴れるだろうと歩き始める。 この日の気温は温かく雪もザレメ雪なので鋲長靴とストックを持って出発。 登山口まで、一部県道と林道を歩くが、時々抜かりながら登山口に向かう。 8時30分、正規の登山道からと思って進んだが、踏み跡が無く深雪の藪越え、踏まれた登山道に取付いた。 少し抜かるが坪足で歩いても高度を上げれば大丈夫だろうと思って進むが、意外と雪が柔らかい。 昨日同様、体重のある私の方が抜かる回数が多く、それだけ要らない力を使う。2合目付近でカンジキを付ける。 Kさんも坪足で暫らく歩いたが、私がカンジキを付けて後を追うと、彼もカンジキを付ける作業をしていた。 カンジキがあった方が歩きやすい、それでも時々抜かるので、それだけ柔らかな雪の状態であった。 9時28分、3合目に到着。夏道は約30分程なので約倍の時間だ。雪道だから止むを得ないにしても少々掛かり 過ぎたと思った。3合目で少し立ち休憩をしてKさんが先になって歩く、体の重い私は遅れ気味であるが後に付く。 天気予報からすれば青空が出てもいいのだが、曇空、けど遠くの山並みもしっかり見えるので、陽が射すより 歩き安い。風もないので寒くない、その分汗は滴り落ちる。私にとっては体の水分を搾り出すので好都合である。 11時02分、順調に大栃平に着く。粟ヶ岳の三峰を仰ぎ、これから進む方向の峰を見ると墨絵のような光景だ。 これからも一層の急登が待っているし、鎖場、粟庭の頭を越えた稜線はどんな状態だろうかと思案する。 5合目を過ぎると急登が待っている。3つある梯子場も雪の下だから雪の付いた急登を登るのも容易ではない。 尾根も細いので左に寄ると雑木に雪が被り雪庇状態になっているので注意しなければならない。 下山は、相当注意して降りなければと思った。もし、滑ればストップは難く、切り立った谷に落ちる事になる。 ピッケルがあったとしても、ザラメ雪で滑落防止でピッケルが効く状態ではない。ストックをしっかり雪に刺して 慎重に一歩一歩急登を登り、10時54分、鎖場手前の稜線に上がった。 ここで後ろを振り向くと一人の男性がすぐ後から登って来た。 難所のひとつである鎖場の雪の付き具合はどうだろうかと思ったら。ロープと鎖は雪の中であった。 一瞬、しまった。やはりピッケルは必要だったと思ったが、どうにもならない。 ここで、一息ついていると、男性は、先に登って行った。近ずいて良く見ると、鎖場は絶壁ではあるが、幸い雪が 柔らかいのでステップは簡単に確保出きる状態であった。ここは私が先に一部雑木に掴まりながら足場を確保 して登らせて貰った。 Kさんは、帰りのためにと、ピッケルで足場を確保しながら鎖場を登る。 11時02分、6合目の粟庭の頭に二人は辿り着いた。粟庭の頭からの展望も素晴らしい。 しかし、難所はここからも続く、ナイフエッジ状態になっている稜線を歩きすぐ急登を登る事になる。 さらに気をしき締めて相当な急降下な粟庭の頭のピークを降りる。カカトでしっかりスッテップしながら降り、さら にナイフエッジ状態の稜線の右側を歩く、左は絶壁、右下はかなり下の沢まで切り落ちた状態の所だが、幸い雪 が柔らかいので、表層雪崩現象が起きる可能性は少ないので大丈夫である。 昨年の春、いっちゃんと来た時は、もう少し雪が硬かったので、ナイフエッジの上の雪をカンジキでつぶしなが ら慎重に渡ったが、雪の状態によって歩くヶ所と工夫は必要である。 ナイフエッジの箇所を終えると、又急登である。夏道は危険箇所の急騰を避けて、右にトラバースしているが、 冬は雪で、トラバースの道は意味を成さない。 この箇所の急登も慎重に登り切った。後は小屋までの登りを終えるだけであるが、夏道でもこの坂は疲労も増 して、一歩一歩であり、当然雪道もそれ以上であった。 11時31分、粟ヶ岳7合目避難小屋に到着。私らを追い越した男性は、すでに北峰の登りに差し掛かっていた。 ここで、ガス切れを避けるため少し腹ごしらえをしてと少し間食をした。 Kさんから後どれ位で頂上かと聞かれ、夏道だと健脚者で40分、普通で50分〜1時間なので、雪道を考えれば 休憩と下山時間を入れ、小屋に帰るに余裕をも計算すると、2時間強を見たらどうだろうかと話す。 Kさんは、下山時間の余裕を考えたら、無理をしない方がいいのではとの見解で、今日は小屋までとした。 正直私も、疲れていたので小屋でゆっくりお昼には賛成であり、さっそく小屋に入る段取りをする。 2階からの入口は雪で塞がれていたが、一階からの入り口は掘られていて、スコップで入口の雪をぬければ中に 入れる様子であった。 早速Kさんが除雪をして中に入る。私は着替えをして、暑くてザックに入れたベストとフリースを取り出して着込む。 歩いている時は温かいが、小屋の中といえども約1000mの標高はやはり寒い。持参したお湯でポタージュを作り、 Kさんがガスで沸かしてくれたお湯でコーヒーやお茶を飲んで、昼食を取ると少しは温まった。 さらに、小屋に備え付けられている毛布を敷かせて貰い、足を包んで寒さを凌がせてもらった。 凡そ1時間30分、避難小屋で団欒しながら昼食休憩をゆっくり取ることが出来た。 そろっと下山と思って、仕度をして外に出る。周辺の写真を撮ったり、風景を眺め二人の記念写真を撮って下山に 掛かる。後ろを振り向くと、私らを追い抜き頂上を目指した男性が降りてくる。相当な健脚者だ。 下りも私等に追いつき、どうぞお先にと言ったが。彼は私らと話をしながら一緒に下山した。 下りも登り同然気を付けなければならない箇所が何箇所かある。登りよりも下山の方が、滑落する危険度は高い。 幸い、雪がさらに柔らかくなり、足場を確保する事が容易に出来て、慎重に降りるも無事難所を過ぎる事が出来た。 大栃平迄来れば急降下はあるものの、危険箇所は無いので、3人で山の話をしながら楽しく下山、途中、あれは きのこでは?との声でそちらを見ると、ヒラタケシメジが出ていた。Kさんが雪をこざいて進み収穫する。 Kさんは、きのこの知識はないようである。私も知識はないが、ヒラタケシメジとナメコは解るので、このきのこは 美味しいので、是非持ち帰り奥さんから、鍋料理かお汁の中に入れて貰ったら食べたらと進言をする。 私も少し冬の贈り物と言われるヒラタケシメジのおすそ分けをして貰い、早速夕食は鍋料理となった。 数年前に冬の粟ヶ岳に登り、「手強くキツイと思った粟ヶ岳であったが、もう一度登って確認をしたいと思って今回 の登山となったが、やはり手強さは、同じであった」と感想を話された。 天候が悪ければどの山も危険な山となる。そしてその日の雪の量と質、天気によってもそれぞれ山は変化する。 今日の粟ヶ岳は雪質を考えると慎重を要し容易ではなかった。 当然だが何処の山も、残雪はじめ特に冬山は簡単に登れないし、あなどってはならないと思っている。 23日午前、加茂山岳会0さんが家に遊びに来られた。当然山の話になり、1月3日、加茂山岳会恒例の粟ヶ岳登山 の話を聞く事が出来た。場所によっては胸まであるラッセルをしながら前進したという。 3合目付近で新潟の山岳会の人達がラッセルで進んでいたので、交替をさせて貰い協力し合って前進したという。 とても、新雪を分けての冬山は、パーティーでなければ登ることも前進することも難しい。 私等は、ラッセルするほどの雪ではなかったが、二人で小屋迄登って来たと話したら、少し感心して聞いてくれた。 彼は、私よりひと回り若いが、グループで一緒になる時は、彼から先頭でパーティーを引っ張ってもらっている。 登 頂 者 笠原(obake隊長) まこと 登頂時間 登り 除雪終了地点7:45-第2水源地8:20-登山口8:30-3合目9:28 -大栃平10:08-粟庭の頭11:02-7合目避難小屋11:31 下り 7合目避難小屋13:08-登山口15:05 |
第1水源地手前除雪終了地点 | → | 第1水源地からの粟ヶ岳 |
第2水源地の堰堤、雪が積もると危険ヶ所となる | → | 8時30分登山開始する |
2合目付近からの粟ヶ岳 | → | 9時28分3合目に、三条側からの稜線と袴越山 |
柔らかい雪だが、少しは歩きやすくなった | → | 4合目に到着 |
大栃平、黒いピークが鎖場だが状態はどうだろうか? | → | 梯子の箇所の急登を越え鎖場はもうすぐだ |
鎖場は雪が付いていた | → | ピッケルで足場を切って登るKさん |
粟庭の頭に到着する | → | 粟庭の頭から避難小屋のある砥沢の頭を見上げる |
11時31分、7合目避難小屋到着 | → | 避難小屋の2階入口は雪で塞がっていた |
正面は掘られた様子だった | → | 避難小屋からの粟ヶ岳 |
権ノ神山と遠くに飯豊連峰 | → | 守門岳 |
二王子岳と飯豊連峰をアップ | → | 二人で記念撮影を |
下山開始しました | → | 前後は難所の粟庭の頭 |
粟庭の頭の下山時の様子を大きくしました | ||
3合目に着きました | → | 無事下山しました |
堰堤を歩いて車置き場まで約30分です | → | 冬の贈り物、ヒラタケシメジです |
少し表現がオーバー気味と受け取られ所があると思いますが、意図する所は、冬山は 夏山と違った変化をして危険ヶ所となる所があります。 一方、見方によっては、私のレポートは幼稚であるかもしれませんが、粟ヶ岳だけでなく 何処の山も同じであり、十分気を付けて欲しいとの強い私の願望でもあります。 私は、少しの油断から粟ヶ岳で滑落し、命拾いした経験から、ひとりでも遭難者やゲガ人 がないようにとの気持ちも込めていますので、その意をお受け取り頂きたいと思います。 何処の山もそうですが、粟ヶ岳も時期になるとイメージを変えて誰でも迎え入れてくれる 山にもなります。時期を選んで是非私の地元の山、粟ヶ岳にも登って見て下さい。 |