残雪の稜線を歩く
粟ヶ岳〜権ノ神岳〜宝蔵山〜白山
1,292,7m 1122.4m 897,1m 1,012m
登頂日 2010年4月9日(金) 天気 晴 登頂者 いっちゃんに同行 コースタイム 三条側登山口6:10−粟薬師7:33−稜線7:48−馬の背9:22−10:04・粟ヶ岳・10:22−北峰10:45 −七頭の頭11:22−シバクラノクボネ11:56−12:28権ノ神神岳(昼食)12:06ー14:35橋立14:52− 16:03宝蔵山16:14−17:40白山17:52−三合目19:00ー登山口19:20 総縦走時間13時間10分 |
粟ヶ岳〜白山縦走のキッカケ 昨年いっちゃんに粟ヶ岳から白山迄縦走したいと同行を頼まれていたが、「残雪で雪が締り日も長くなってから 景色を眺めながら楽しく歩きましょう」と返事をしていた。 私もこのコースは繋ぎで歩いているものの一度は通して歩きたいと思っていたコースでもあった。 「4月9日は天気も良いし休みなのでどうだろうか」と電話があり出かける事にする。 この縦走の難関は粟ヶ岳の北峰から権ノ神岳間の七頭尾根であり、北峰の急降下と七頭越えの雪の状態が 心配であった。 私が残雪のある時歩いていない部分がその難所の所であった。 初めてのコースは必ず下見をするのだが、今回は登頂日の間隔も無かったので、危険であれば引き返す事 を確認をして縦走登山に出かけた。 |
出発は三条・下田から気を引き締めて 縦走時間は、10時間から11時間で、後は休憩時間をどれだけ取るかと試算していた。(結果は誤算) 最悪の事故という事態は絶対避けなければと思い、アイゼンとピッケルの携帯を依頼、 最悪をも想定してロープとヘッ電は用意する。 いっちゃんはツェルト迄用意しての縦走であった。(お互いに猿毛岳の遭難捜索をしての教訓もあり・・・) 朝は気温も低く残雪の稜線歩きは順調で守門岳を横に粟ヶ岳を正面に観ながら時々休憩を入れて快適に歩く。 馬の背も一部雪が落ち掛けていたが順調に進み粟ヶ岳山頂10時4分到着、約4時間は想定の範囲であった。 粟ヶ岳の頂上は風も無く、川内山塊の山並も今日は一段と浮き出て遠くに飯豊連峰も白く輝いていた。 粟ヶ岳山頂で記念写真を取り、小休止後北峰に足を進め権ノ神岳を目指す。(所用時間は2時間と見た) 登山口から一人の先行者の足跡があったが、その足跡は北峰を下り権ノ神岳へと目指していたが姿は見えない。 ルート取りも歩きも相当な経験者で健脚者と思った。 |
三条下田側登山口 | 朝日を浴びて | |
粟薬師に | 青空に映える宿り木 | |
稜線に出て三峰の粟ヶ岳 | ||
守門岳もクッキリ | ||
景色を眺めて休憩 | 馬の背に、左前方が粟ヶ岳山頂 | |
午の背のクレパスと粟ヶ岳山頂 | ||
青空を背に馬の背を歩く | ||
粟ヶ岳の急登 | ||
粟ヶ岳頂上にて | ||
北峰に向う | ||
山頂から見た白山までの縦走路 | 川内山塊の山並 | |
いよいよ北峰を降り難コースに 私等もいよいよ急降下の北峰の下りとなります。 いっちゃんのアイゼンは4本爪の軽アイゼンで台餅が付き 粟ヶ岳山頂下りから外して歩く。 北峰からは二本ストックをピッケルに切り替えて難所の七頭尾根の縦走に入る。 ここでいっちゃんに「ピッケルワークは小国で雪山訓練を受けているので大丈夫よね」と確認をする。 「ハイ、何とか」との返事を貰い気を引き締めて急降下で難所の縦走路に入る。 |
やっぱり七頭尾根は難コースだ! 私はピッケルをザックに挿したまま二本ストックに6本爪のアイゼンで急降下を先に下りいっちゃんの下りを見守った。 私はアイゼン装着で急斜面を降りれたが、後続のいっちゃんは途中無理と判断して体を滑落状態にしてピッケルで ストップを掛けて急斜面を降りる。 流石!冬山技術訓練の成果を目の前で発揮をされて安心! さらに急降下をしながら馬の背状と急降下の七頭のピークに向う。七頭も北峰の急降下以上に切り立っている。 雪の付き具合と勾配を見て一瞬ここで断念かとピークから下を見下ろす。 先行者の降りた跡もあるが、一部雪が緩み窪んだ部分を利用すれば何とかなりそうなので先に降り後続のいっちゃんが 危険ヶ所の降下するのを確認して前進する。 安全なピークには立ち止まり、このコースからしか見れない粟ヶ岳の裏斜面の豪快さを眺めながらシャッターを切る。 安全な個所以外の歩きは、行く手を定め足元をしっかりキープして滑落しないように万全の注意をと声を掛けて進む。 シバクラノクボネ(イタガモモ尾根の鞍部で芝倉沢に下る登山道イタガモモの下山分岐)に到着し厳しい難所は越える。 いっちゃんに「ここからはピッケルからストックに切り替えて権ノ神岳に上がろう」と指示をさせて貰う。 |
急降下の北峰を下るいっちゃん | → | 急降下を終えて |
この先には難所が幾つも待っている七頭尾根 | ||
七頭の頭を降りる | ||
七頭尾根の斜面 | ||
安全地帯でシャッターを切る | ||
一本岳(三つ鼻)と粟ヶ岳の稜線をバックに | → | 行く先はまだ気を抜けない、右の高いピークは権ノ神岳 |
七頭尾根最後の下り | ||
権ノ神岳登り途中から縦走路を振り返る | ||
難所を過ぎて権ノ神岳でお昼、そして宝蔵山に向う 権ノ神岳の急斜面も何回か立ち休憩を入れながら小さなジグザグを入れて権ノ神岳に12時22分に到着する。 ほぼ予想の時刻範囲で到着するが、出来たらもう少し早くとも思ったが、難所はゆっくりで良しとしよう! 権ノ神岳に到着し、ここでしか味わう事が出来ない粟ヶ岳の残雪の山容と川内山塊を眺めて昼食とする。(昼食休憩38分) いっちゃんは権ノ神岳は始めてで持参した無線を発信し、応信した方と僅かな交信であったが登頂記念の初交信となる。 難所は通り抜けたが気を抜かないようにと話しかけ長坂を下って宝蔵山を目指す。 橋立迄1時間30分、宝蔵山迄はさらに1時間と見て時々振り向きシャッターを切りながら難所を越えた気安さも加わり長い 下りを山の話をしながら歩くのも山の楽しみである。 粟ヶ岳を降りる頃から何回か携帯電話のベルが鳴る。 今日は同行しないかよこは下山口の迎えのサポートを頼んだので位置確認をして来る。 このコースは簡単でない事を承知をしての心配もあり、状況と位置の確認を知らせながら歩けて我が方も安心。 鞍部の橋立で小休止、天気も良く思った以上に水が必要で権ノ神岳で雪を詰めて水を補給し残り少ない水を口に含むむ。 粟ヶ岳の北峰が右奥に見える権ノ神岳を振り返りどっちりした山容の宝蔵山に向う。 |
権ノ神岳に到着 → | 粟ヶ岳を眺めて昼食休憩 | |
権ノ神岳長坂を下る → | 橋立に着き小休止 | |
中央北峰と左権ノ神岳 → | 目指す宝蔵山(奥)は一段と大きく見えた | |
宝蔵山は疲れもあり思ったより手間取る 宝蔵山は思った以上に難敵であった。 夏道で40分で登った事もあるので1時間と見たが予想以上であった。 それは、雪道だけでなく、疲労も蓄積していて時々腿の筋肉が張り痙攣を起こさなければと心配した。 立ち休憩を入れながら予想の時間を越えて16時03分、宝蔵山に到着する。 宝蔵山の前で位置確認の電話が入り、無理であれば宝蔵山の登山口に降りてもとの伝言であるが、 この時期にこれから進むコースは何回も歩き、予定時間はオーバーしているが体力は大丈夫! 宝蔵山山頂で食料を補給して下りは急ぎ足で白山のピークを目指す。 下りは急いでも負担は無いが、登りになると疲労の蓄積からペースは落ちて白山には1時間26分を 要したが、それにしても長丁場の縦走で最後のアップダウンのタイムは遅くはない。 |
ようやく宝蔵山に、ひと月前と3週間前もここで記念撮影 | → | 最後のピーク、目指す白山! |
白山頂上でささやかな乾杯をして下山! 白山に到着していっちゃんが持参した350ccのビールをここで半分頂き無事に白山に着けた事での祝杯として 二人でささやかな乾杯をする。 喉も渇いていたし、ここまで来れた喜びのビールの味は、僅かな量ではあるが格別に美味しかった。 夕暮れの6時になろうとしているが、幸い天気は良くてまだ明るいが、西の空はやや赤い色になって来た。 電話が鳴り、これから下山口の慈光寺に向うという連絡が入る。 途中暗くなってもヘッデンがあるので心配は無いと伝言し、加えて喉が乾いているのでジュースを用意してと頼む。 最後の下山の下りも慎重に降りる。 白山の登山道の雪の量は所々夏道が出てむしろ歩き難いが一歩一歩急ぎながらも転ばないようにと心して降りる。 3合目に来てまだ登山道の確認は出来るが、ヘッドライトを付けて下山に掛かる。 間もなく下からも電燈の光が見えて「おーい」と声がした。サポート役の女房が迎えに登って来てくれた。 三合目下の登山道で腰を下ろして持参してくれたジュースを飲み干し、みかんも口に入れて乾いた喉を潤す。 ジュース持参と迎えのフォローに感謝! 19時20分登山口に到着し、迎えの車に同乗して三条市下田・五百川の登山口にいっちゃんの車を回収に移動する。 お互い無事に自宅に到着、粟ヶ岳から白山の残雪期の稜線歩きの縦走を終了した。 |
ようやく白山の小屋後ろに | → | 粟ヶ岳をバックに白山頂上の万歳! |
ビールを分けて貰い乾杯!味も最高!気分も最高! | → | 陽が落ち掛けて来る・・・ |
下山開始! | → | 最後の下りも気を付けて! そして家に帰るまでは登山・・・と、言い聞かせながら・・・ |
縦走を終えて 私が予定した時間を大きくオーバーしてしまった。 最悪の事を想定しての装備は二人は整えていたものの、私の反省点は幾つかある。 今回はせっかくの縦走なので慎重を期した歩きはしたものの景色を堪能する事も目的として歩いた。 このコースは慎重・安全・を期しながら完全縦走にウエイトを置いての時間配分をしての歩きをすべきであった。 さらには、後半の疲れから時間を取られる事は承知していたが、にしても予想以上であった事はそれだけ自分の 脚力がなかった事で、出発時間と体力・脚力、休憩との相対関係をもっと計算に入れる必要がある。 当然同行者の事も考慮すべきであるが、今回の同行者いっちゃんの体力・脚力・気力にはあらためて感心する。 結果論であるが、せめてもう一時間早く出発すれば後半の時間に余裕が持てたのだが・・・・反省は次に生かそう! 長い縦走は、南アルプスの4泊5日、矢筈岳往復2泊3日や飯豊連峰、そしてトムラウシ等々の長い歩きも経験したが、 振り返ると日数と時間配分をした歩きで、強いて上げれば夏場の栂海新道を歩いた時以来の疲労であった。 何がともあれ、七頭尾根と粟ヶ岳〜白山の縦走は健脚・上級コースであり、私の山経験は中位と思っているので、 易しい縦走ではなかったが、緊張の中でも素晴らしい景観を眺めて満足の縦走であった。 合せて残雪の雪山も、夏道とまったく様子と条件が変わる事を必要以上に考慮に入れるべきと考える。 もう一週間過ぎたら残雪の状態も変化し、さらに歩き難い状態になる事も考えると今回の残雪の縦走時期はぎりぎり とも考えられる。 そんな反省をしながら無事にいっちゃんと粟ヶ岳から白迄の完全縦走登山を出来た事を喜んでいる。 さらにこの時期このコースの縦走が出来たのは、今回はぎりぎりとは言え朝気温が低く好条件の残雪状態と晴天が 味方した事も付け加えなければならない。 これからも、体力を維持しながら楽しく安全な山登りをやりたいものである。 |